思い出のモデルガン~マルシン/コルト25オートとメタルカラー

マルシン最安キット。
定価は確か3500円、行きつけのガンショップだと2割引で2800円。
マルシンのキットの中で最も安いモデルでした。
しかしこれを買ったのはかなり後。
大型拳銃が好きだったので、小型拳銃はアウトオブ眼中だったんです。

そもそもどっちが25オートなんだ!
実は当時コルト25オートはコクサイも発売していた。
まあトイガンに競作なんてよくあること…では片付けられない。
両者の25オートは似ても似つかなかった。
その為一方が本物で他方がニセモノに違いないとか思っていました。

コクサイの25オートはむしろハドソンのブローニングベビーと似てる。
この3つが当時の小型拳銃御三家というイメージが有りました。

正解は…どっちも正しい。
トイガンでは「コルト25オート」と呼ばれていますが実銃では、
・マルシンの25オート=ジュニアコルト 
・コクサイの25オート=コルトM1908ベスト・ポケット
という名前の方がメジャーの様です。
両者が共にコルト25オートと呼ばれたのは最初にベスト・ポケットが販売され、こちら製造中止後にジュニアコルトが発売されたから。
どっちもコルトの25口径拳銃=コルト25オートになった訳です。

更に言うとジュニアコルトはコルト純正じゃありません。
元々スペインのアストラ・カブorアストラ2000と呼ばれていたピストル。
これにベスト・ポケットの後釜を探してたコルトが目をつけて自社ブランドで売った。
つまり元を正せば全然別のものだったと。

むしろこっちが兄弟。
更にコクサイ/25オートと似ているハドソン/ブローニングベビー。
どっちもFMポケットモデルM1906をベースに開発されたもの。
つまりコクサイとハドソンが兄弟、マルシンは赤の他人であると。

ウンチクはこれくらいにして。
マルシン/コルト25オートの話に戻ります。
この銃を買ったのは銃自体が目的ではありませんでした。
キットモデルばかり組んでいた私はメタルフィニッシュ(マルシンのガンメタリックっぽいメッキ)のモデルガンを持っていなかった。
それまで表面仕上げとか「モナカ線が消えればいいや」ぐらいにしか思っていなかったのですが…。

ある日「マルシン/メタルカラー」なる塗料が売っていました。
モデルガン用の塗料というと現在ではキャロムが有名ですが、当時はマルシンも売っていた。
これをモデルガンに塗るとアラ不思議、ご家庭で簡単にメッキモデルが作れちゃう!
多分マルシンは絶対こんなこと言ってませんが、自分にはそんな天の声が聞こえた。

初めてなので小物から。
何しろ塗装なんて今までやったことありません。
しかも買ったのはスプレータイプじゃなくてWAのシリコングリスみたいなスポイトタイプのやつ。
失敗しそうなのに量も少ない。
なので小さいモデルガンがいい=25オートだ!
かくして人柱ならぬ銃柱として選ばれたのでした。

とりあえず組んでみた。
小型拳銃なのでパーツ点数も少なく、組むのは問題ありませんでした。
これはこれでいいかも。
買ってしまえば気に入ってしまう現金な性分です。
じゃあ塗装しましょう。

これで金属感溢れる超リアルなモデルガンがこの手に…入りませんでした。
気がつけばムラだらけの汚いモデルガンがそこにありました。
失敗した!
拭き取ろうとすると中途半端に塗装が食いついており、拭いても拭いても紫の汁が出て来るありさま。
気がつけば手は塗料まみれ。
のち25オートの塗料は乾燥し…見事な塗装失敗モデル一丁上がりです。

ノウハウもないのにテキトーに塗ってはいけません。
まず組んで塗った、これが間違いでしたね。
分解が面倒くさくて…そんな手間惜しんでいたら出来る物も出来ません。
バラした上で脱脂しなきゃならないと後で知りました。
つまりトリガーやハンマーにも色付いちゃってます。
また棒をくっつけるなど全体に塗る工夫もしていませんから、ペンキ塗りたてに手がペタペタ触れます。
むら無く塗れてもその後台無し。

まあ今思えば失敗するべくして失敗したのですが、
誰も先生になる人が居ない。
父をはじめトイガンを塗装している人なんて近くに居なかった。
インターネットが無い時代なので検索して調べることも出来ません。
ショップで聞けば…とも思いましたが、キチンと教えてくれるか微妙です。

そして悟った。
メーカーので十分だ、塗装はやめよう。
そんな訳で表面仕上げは出来合いのみ、自分でやるもんじゃないという結論に達しました。
私にとってメッキや塗装の重要性はただサビや擦れに強いかとなっています。
ですから嘗てはMGCのミルフィニッシュ、現在はWAの塗装が最高だと思っています。
なのにWAはその塗装を減らしてブルーイングや黒染めに走っている。
これが残念でなりませんね。


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