モデルガンインプレッション：ハートフォード／スタール・リボルバーM1858

ハートフォードが発表するまで知らなかった。
そもそも作っているスタール社というのが初耳。
初期のダブルアクション・リボルバーというとコルトM1877ライトニングが真っ先に思い浮かびます。
ビリー・ザ・キッドが使ったと言われている銃です。
それよりも前にダブルアクションに挑戦したモデルの様ですが、その機構が物凄く独特なんです。

カギになるパーツは3種。
普通のリボルバーで言うトリガーはメイントリガーと言います。
そのメイントリガーの裏に付いている出っ張った板が切り替えスイッチです。
トリガーガード後方からピョコっと出ているパーツがセカンダリートリガーです。
この3つがスタールのシングル＆ダブルアクションに関わる重要パーツになります。

×シングル＆ダブルアクション→◯シングルorダブルアクション。
普通シングル＆ダブルアクションのリボルバーというと、
ハンマーを起こしてトリガーを引くシングルアクション。
トリガーを引き続けるとハンマーが起きて落ちるダブルアクション。
撃つ時にどっちか決められますが、スタールは決められない。
最初にシングルかダブルかを、メイントリガー裏の切り替えスイッチで決めます。
つまりシングルモードならシングルアクションしかできず、ダブルモードならダブルアクションしか出来ないと。

メイントリガーはハンマー起こし機。
スイッチを上にずらすとダブルアクション。
メイントリガーを引くとハンマーが起き上がり、引き続けるとセカンダリートリガーに接触してハンマーが落ちる。
ハンマーを落とす（シアを開放する）のはあくまでセカンダリートリガーですが、アクション自体は現代リボルバーとほぼ同じ。

大変なのがシングルアクション、スイッチを下にずらして行います。
1.メイントリガーを引くとハンマーが起き上がりますが、引ききっても落ちずに止まります。
2.ここでメイントリガーを戻す。
3.そして指を後方のセカンダリートリガーにかけ直して引くと落ちる。 
ダブルアクションが主でシングルアクションはおまけとしか言いようのない仕様です。

ハンマーはノータッチ。
普通シングルアクションというと「手でハンマーを起こして…」となりますが、スタールはこれ厳禁、壊れるそうです。
ハンマーは必ずメイントリガーで起こします。
でもスタールのハンマーにはスパーが付いてますよね。
これ引いて起こせと言ってるかのように。
なのに触って起こしたらアウト…って何のために付いているのか。
ハートフォードの店員さんによれば、
ハンマーダウンさせたい時だけ使ったんじゃないか。
つまりデコッキング用のスパーです。

ダブルアクションオンリー。
戦闘中にあの小さな切り替えスイッチをコチャコチャ弄っている余裕は無いと思います。
つまり最初からシングルかダブルに固定して使ったんじゃないんでしょうか。
そうなると断然ダブルアクションです。
スタールのシングルアクション は指をメイントリガーからセカンダリートリガーにかけ直す必要がある。
使い勝手が悪いのであり得ないと思います。
実質的に旧日本軍の二十六年式拳銃と同じ使い方してたんじゃないでしょうか。
こちらはダブルアクション・オンリーで、スタールと違ってハンマースパーがありません。

クリント・イーストウッド主演「許されざる者」。
最大の疑問はハートフォードが何故この銃を作ったのか？という事でした。
映画「許されざる者」のポスターでイーストウッドが後ろ手に持っているのがこの銃。
ウエスタン＆日本軍のハートフォードとしては欠かせなかったと。

またこのモデルガンを制作するに当たり当然海外で実銃を…取材していません。
計測したのはなんと日本国内。
スタールはパーカッション方式で所謂「古式銃」のカテゴリなので、日本国内でも美術品として合法的に所有出来る。
その為国内で取材が可能だったという事です。

 これはコルト・ウォーカー

過渡期バンザイ！
このスタールの機構は当然ながら現在どの銃も採用していません。
明らかにS&W方式のシングル＆ダブルアクションが優れているからです。
しかし私はこういう試行錯誤した独自機構の銃が大好き。
トグルアクションのルガーP08や、前方にマガジンを配置したモーゼルC96も同様です。
なので使い勝手とは逆に凄く気に入ってしまいました。
あと昔のリボルバーはとにかくデカイので見栄えがしますね。

ブルーイングモデル企画中？
のちビクトリーショーに行った時にハートフォードのブースかは忘れましたが、
そこにはピカピカに輝くスタール。
金属じゃないですよ。
とスタッフの方の言葉。
写真撮れなかったのでこちらで御覧ください。

公式サイト＞スタール・アーミー・リボルバー

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