GUN雑誌2016年9月号発売、ガンプロフェッショナルズ

●メタルフレームの時代 分水嶺1984
1984年というのはグロック17(当時の名称はオーストリア軍用のPi80)が月刊Gunで紹介された年でもあります。
つまりグロック前、グロック後の分水嶺。
銃は鉄で出来ている、あの重さと冷たさが安心感を与えてくれる。
という保守的な人にとっては冬の時代が訪れると。
こちら日本の古参ガンマニアにとっても同じ。
プラスチックで作られたトイガンを手に取りながら、
これがもし金属だったらという憧れがありました。
レポーターも同じような事を考えていた面々だと思います。

嘗てCz75のレポートでイチロー・ナガタは、
オール・スティールでこれ以上の銃は出てこないのでないか。
あとはグロックみたく素材が変わっていくだけ。
なんて事を言ってましたが、見事に的中しましたね。
実際は素材だけじゃなくてストライカーやセミダブルアクションと言った作動方式にも影響しましたが。

●豊和工業/AR-180
アーマライト→オランダNWM(製造はせず)→豊和工業→スターリング。
製造権がこの様に移り変わったのは初めて知りました。
その後もフィリピンや台湾に渡ったとか渡っていないとか。
M-16は高いから、もっと安い銃を。
というコンセプトで作ったのがプレス加工を多用したAR-18です。

なんかH&K VP70が作られた経緯と似てますね。
更に言うと「銃自体は売れなかったが、コンセプトは色んな銃で真似された」というのもVP70→グロックの流れに似ています。
L-85、89式小銃などが影響を受けていると言われます。
驚いたのは豊和でもフルオートのAR-18を作っていたということ。
最初の1000丁はフルオート付きのAR-18。
その後からセミオートオンリーのAR-180。
生産期間は1970-1974の4年あまり。

中止になったのは武器輸出三原則が制定されたから。
海外に売っちゃダメ、さりとて国内は元々ダメ。
じゃあどうすりゃいいのって感じで止めちゃったんでしょうね。
他にもARシリーズに多数言及していたのが興味深かった。
AR-17はショットガンで2500丁作られた。
AR-7はチャーターアームズ、ヘンリーで生産された。
AR-16…これってAR18の7.62mmバージョン?
トイガン化されたチャーターアームズ製品って、ブルドッグだけじゃなかったんだ。

●ベレッタ92SB
オーナーのアメリカ人は長年ベレッタ92Fを愛用しており、特にSBがお気に入りだそうです。
その気持ちわかります。
このモデルに思い入れがある日本人は多分私だけでは無いでしょう。
まだモデルガンがエアガンよりも勢いがあった頃、ベレッタ92のモデルガンはSBだけだった。
鈴木製作所やACG(アメリカン・コレクターズ・グループ)が出していたのがこのモデルです。

当時月刊Gunで「本物VSモデルガン」というコーナーが有りました。
辛口で知られたレポーターのネモ忠さんこと根本忠氏がスズキのベレッタ92SBに対しては、
兜を脱ぎますなんて脱帽していた程のリアリティ。
何よりとにかく美しい。

ベレッタ92Fが男性的な力強さに溢れているならベレッタ92SBは優美な貴婦人といった趣。
無論欲しかったのですが、一つ問題がありました。
当時の私は金がなくて、モデルガンを買うときはキット化されているもののみと決めていた。
キットと完成品は値段が倍くらい違った為です。
しかしスズキ及びACGのベレッタ92SBは完成品しか存在しない。
欲しいが高い、でも欲しい。
バイトして買いましたよ、初めての完成品を。
その後一週間いじり倒してセフティが壊れました。

スズキ/ACGのベレッタSBはその後マルシンで製造され、
・仕上げがテカテカABSからマット調ABSに
・センターファイア化されカートがマルシンと共通に。
などと発展していったのですが、最近見ませんね。
センターファイア&HW樹脂製のバージョンがあれば是非また買いたいんですが。

●コルト・ウッズマン
こちらはアメリカよりも日本のファンが多いんじゃないかというモデル。
言うまでもなく漫画「ワイルド7」の影響です。
本来は.22口径の競技用&プリンキング用だと思うんです。
正直警察や軍隊が持つ銃としては心もとない。
でも日本では漫画効果かトイガンメーカーがこぞってモデルアップしてました。

私が幼少の頃遊んでいた父のモデルガンで、一番のお気に入りもウッズマン・スポーツモデル。
ニュッと延びた銃身が凄く格好良く見えたんですね。
ところがいざ自分で買おうと思って目をつけたのは実はマッチターゲットだったり。
でも結局買ったのはスポーツモデル、何ででしょうね。
昔はブローニングにハイスタンダートとこぞってこの手の.22口径を作っていた。
でもみんなまとめて「スターム・ルガーMKI」シリーズに駆逐されちゃった気がします。

●ハートフォード/モーゼルHSc
「実銃VSトイガン」「トイガンラボラトリー」
なんと一つの雑誌中2つのコーナーでピックアップされています。
随分力が入っていますね。
実銃だとワルサーPPシリーズの後塵を拝した感じですが、日本では過去MGCはじめ幾つかのメーカーがモデルアップ。
オールドファンが待ち望んじゃ銃ということでしょうか。
私自身もハートフォードの発表以来、随分モーゼルHScの記事を書いた気がします。
でも実は私自身より父が好きな銃だからという面が大きいです。

「実銃VSトイガン」というのは前述の月刊Gun「実銃VSモデルガン」のコーナーの発展型。
但しモデルガンが戦前型なのに対し、持ってきた実銃は戦後型みたいですね。
グリップは全面にチェッカーが掘られている戦後型のほうが好きだったりします。
ハートフォードもそのうち作るものと期待しています、戦後型。
制作に至る経緯が載っているのが興味深かったですね。
ハートフォード社長が2010年にグアムでHScと出会ってモデル化決定。
足掛け6年…発売まで大変でしたね。
「3本ライン」って言葉が最初何のことか分かりませんでした。
スライド刻印の三本線の事ですね。

●ブローニング ハイパワー MarkII
ブローニングハイパワー、ブローニングハイパワーMKIII。
じゃあMKIIはどこ行ったの?
ちゃんと存在していましたね。
徳川幕府の二代将軍のごとく影の薄いMKII。
開発したけど発売しなかった試作モデルだと思っていました。
売ってたんです、たった2年ほどですが。

どんな銃だろうと見てみると…あんまMKIIIと変わらないですね。
パッと見MKIIIと違うのは前後サイト、サムセフティ、ランヤードリング有りってとこ。
但しサムセフティはMKIIIと同じタイプもあったとか、たまたまレポート用の銃が小さいセフティが付いていたと。
グリップのデザインはまんまMarkIIIと一緒、これが「大して変わらない」感を出している原因かと。
・1935年 ブローニングハイパワー発売。
・1982年 ブローニングハイパワーMKII開発。
・1985年 ブローニングハイパワーMKII発売。
・1987年 ブローニングハイパワーMKII発売中止。
・1989 年 ブローニングハイパワーMKIII発売。
短命に終わった理由は信頼性に問題があったとか。
どんな問題だったんでしょうね。

●ユーロサトリ
フランスの兵器ショーです。
なにが出ているかより日本企業が存在することに目が釘付け。
前述のAR-18とAR-180が製造中止になったのは武器輸出三原則が制定されたから。
当然居るはずもないと思っていたからです。
現在では緩和されたとかで日本企業11社が参加しているそうです。
一体何を展示しているのか気になるけど、言及無かったですね。


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