【映画】ゼロ・ダーク・サーティ(Zero Dark Thirty)の感想

タイトルは0:30の意味。
9.11(アメリカ同時多発テロ事件)を引き起こしたテロ組織アルカイダ。
そのリーダーであるウサーマ・ビン・ラーディンの捕捉撃滅を描いた実話に基づく映画です。
アメリカ本土でのテロであり象徴でもあった世界貿易センターを攻撃&崩壊させられた。
この衝撃とその反発は凄まじく、アメリカの国を挙げてのビン・ラーディン捜索が繰り広げられます。
ジャンルとしてはサスペンスに近いですね。
銃撃戦はクライマックスとちょっとくらいしかありません。
CIAが如何にビン・ラーディンを追い詰めていったかがメインです。

アメリカ中が俺に血眼、でも捕まらないんだなあ。
ルパン三世の口上じゃありませんが、世界最強の軍事力とハイテクを誇るアメリカ。
人一人見つけるくらい簡単だろうと思ったら全然見つからない。
匿っていると思われたアフガニスタンのタリバン政権を崩壊させてもその消息は知れず。
10年近くが経過した時一人のCIA局員がパキスタンに赴任してくると。
それが物語の主人公、中東専門の分析官マヤです。

マヤは架空の人物かな?
何しろCIAの人物なので実名を公表できるはずもない。
また女性だったというのも「映画的な演出」に見えなくもない。
おっさんよりも見栄えがしますからね。
現場からも「若すぎる、大丈夫なのか」という疑問の声が上がります。
その若い女性が大事を成し遂げる、というのが盛り上がりに繋がると。

水責めは苦しいらしいですね。
国家を揺るがす一大事という事もあり、捕らえた関係者には当初拷問も辞さない姿勢だったアメリカ。
口に布を当ててそこに水を流しこむ。
こちら従来の「水槽に顔を突っ込む」拷問より遥かに効果があるそうです。
水槽だと息を止めて我慢とか出来るらしいんですが、こっちは即効で溺死する感覚を味合わせられるとか。
しかもキズは一切残らない。
この点を踏まえて「拷問ではない、ちょっとキツイ尋問である」なんて強弁したりも出来ると。
しかしアブグレイブ刑務所に代表される捕虜の虐待が明るみとなり、こういった強行手段は使えなくなる。
捕虜は虐待するな、でもビン・ラーディンの居場所を聞き出せ。
上司からの無茶振りに現場は苦労させられる訳です。

アブ・アフメドとは?
調査の過程でマヤはアブ・アフメドという人物に目をつけます。
幹部とビン・ラーディンの連絡係と目される男。
しかし当たり前ですが皆目正体が分からない、名前は当然偽名、実在するかも怪しい。
重要な連絡員なのか、沢山いる連絡員の一人に過ぎないのか。
ビン・ラーディンと直接会える人物なのか、それとも違うのか。
確信が持てないまま強行手段取って「違いました」じゃお話にならない。
中々上司の理解も得られないと。

狙われるマヤ。
一応変装とかもしているんですが、長期滞在すると当然面が割れます。
本人を狙ったかは定かではありませんが、爆弾テロに巻き込まれるマヤ。
ある日など出勤しようと門から車を出した途端に銃撃。
基地内に住んでいなかったのが意外。
敵地それもイスラム圏で白人女性がよくやるなと。

重要人物を買収した!
そんな折、同僚のジェシカが「アルカイダの医師」買収に成功。
彼を使えばビン・ラーディンの生殺与奪は思うがまま。
大手柄に喜び勇んで基地での対面に向かった…やばそうですね。
案の定やって来たのは爆弾巻いたニセモノ。
大物の接触に「今回だけだから」と警備を解いた所をドカン。
成果が上がらないどころか味方を失い意気消沈のマヤ。

更に追い打ち。
アブ・アフメドは既に死亡していたという話が舞い込んでくる。
捕虜の一人が「自分が埋葬した」と証言。
存在してた様ですがこの世に居ない人物を必死で探していたのか。
しかし捨てる神あれば拾う神あり。
とある人物が「アブ・アフメド」名義で飛行機に乗っていたことが判明。

この人物は8人兄弟で、みんな顔もよく似ている。
死んだのは別の兄弟だ、アブ・アフメドは生きている!
でもこの時点で見ている方もホントか嘘か分からなくなっています。
マヤの「確信」は殆んど「願望」に近い感じですし。

地道な捜索。
本名が分かって大体の居場所も判明したけど特定が大変。
基本的にランダムで公衆電話を利用して居る。
やがて携帯を購入して電話番号を特定できたものの、本人捜索がまた困難。
そこら中人だらけで携帯を持っている人も沢山いる中で必死に対象を特定していく。
ようやく特定した人物は郊外の大邸宅に入っていった。
アブ・アフメドであるのは間違いない、しかし彼はとっかかりに過ぎません。

本当にビン・ラーディンなのか?
要塞化された大邸宅。
重要人物の住処には間違いありません。
イスラム圏では女性が夫以外の男性と暮らすなんて有り得ない。
この習慣のおかげで男性2人、女性3人という構成があやしい。
もう一人「夫」となる人物がいるはずという結論に達します。
一夫多妻という考えは無かったのかな。

しかしこの第3の男が決して正体を表さない。
基本的に壁に阻まれて中は見えません。
衛星で上から監視してもその第3の男、屋根のある場所しか歩かない。
正直これ以上調べようがないと思います。
突入して直に面通しする意外方法がない。
しかし上は失敗を許さない。

マヤのハッタリ。
外からは一切様子がうかがい知れない。
中に入る方法を色々試したけど駄目でした。
正直ハズレ覚悟で当たってみるしか無いと思う。
CIA幹部が集められて突入の是非を議論。
ここでマヤは100%ビン・ラーディンだとぶち上げます。
のち95%に修正しますが、実際ホントに確信があったのか疑問です。

ステルスヘリコプターだと!?
突入決定は正直奇跡だと思いました。
用意されたのがネイビーシールズとステルス仕様に改造されたブラックホーク。
普通のブラックホークと全然見た目が違いますね。
しかし四六時中ローター回していて「ステルス」なんて成立するのか。
離陸する時普通のヘリと同じくらいうるさいです。
まあレーダーに映らないのがメインで、音は二の次なのかもしれません。
また音も「高音域」をカットして遠くまで聞こえにくくしているのかも。
近づいたら当然うるさいと。

まさかの墜落。
メイン2機、サブ2機の四機編隊で行くのですが、メインの1機が墜落。
「ブラックホーク・ダウン」とかの影響もあり米軍のヘリはこんなに良く墜落するのかと思ってしまう。
夜間の秘密作戦で低空飛行。
パイロットは相当難しい飛行をやっている筈だから失敗もするんでしょうね。

見敵必殺。
どうやら生け捕りは全く考えてなかった模様。
そりゃ反対されるわ、失敗したら大問題ですもんね。
名前を呼んで、顔を出したら即バンバン。
死んでいるように見えても念のためと追い打ちバンバン。
抵抗しなければ命だけは、とか一切ありません。
Kill Them All.
助けるのは抵抗しない女子供だけ。

ジェロニモ確保。
第3の男がビン・ラーディンであってくれ。
殆んど熱望に近い感じだったと思います。
最後の一人を倒して顔をビデオ撮影。
子供に「あのおじさん、だれ?」と聞くのは大人は偽名を口走るかもしれないと。
でも子供、何も言いませんでしたね。
普段からビン・ラーディンの名前を言わないようにと教えられていたのか。
それでも隊員の目でビン・ラーディンと確認。
苦節10年、ようやく9.11の主犯を確保できましたね。

結局都市に居たんですね。
劇中でも言ってますが、潜伏先として予想してたのは二箇所。
・アフガンの山岳地帯の洞窟。
・大都市のどこか。
見つかるまでマスコミは前者の論調が強かったし、私もそうだと思ってました。
木を隠すなら森の中、人を隠すなら大都市だった訳ですね。
個人的にサスペンス系は苦手なのですが、事実に基づく話なので興味深く見られました。
あとはビン・ラーディン視点の逃亡劇も見てみたいなと思いました。
どうやって10年も捜査網かいくぐったのか。
まあテロリストだから映像化は無理でしょうね。

公式サイト / ウィキペディア imfab(登場した銃器の紹介)


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