WA/S&W SW1911
種別 | 仕様 |
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バージョン | SCW2、HW樹脂製スライド&フレーム |
スライドノッチ | 非貫通ワイド型、めくれ対策なし |
フロントサイト | ドブテイル(ドット有) |
リアサイト | ノバック型(ドット有) |
トリガー | スモールサイズ、SWタイプロング3ホールトリガー |
バレル | アルミ製アウター&真鍮製メッキインナー、銀プラチャンバー、リコイルスプリングガイド一式 |
セフティ | 4mm軸シングル |
スライドストップ | 抜きにくい |
フレーム | 実物グリップ装着は不可 |
ジャンル | 作品 | 使った人 |
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※TV・映画では俳優名、漫画・アニメ等では役名を記述 |
左右両面。スライド右側がのっぺらぼうです
S&W製.45オートの出現
1980年代に発売されたS&W M645はS&W社にとって特別な意味があります。
それは.45ACP弾を使用する始めてのS&Wのピストルだったからです。
.45ACPのACPは「オートマチック・コルト・ピストル」の略であり、M1911A1に代表されるコルト製品の為に作られたカートリッジです。
コルトの名前が付いた弾丸を使う銃を、S&Wは長らく作っていませんでした。 同じことはコルトにも言えます。S&Wの代名詞でもある.44マグナムを使用するリボルバーをアナコンダまで作っていませんでした。
S&W M945
その後パフォーマンスセンター(S&Wのカスタム部門)より、M945が出現します。
スライドはS&Wですが、フレームの部品がコルトM1911に良く似たパーツ構成をしたモデルです。
S&W M1911へ
そして遂にM1911互換モデルが登場。S&Wとしては苦渋の決断だったと思います。
コルトとは凌ぎを削ったライバル同士なのに、そのコピーモデルを作成する。
これじゃ今まで作ってきたS&Wのオートは何だったんだという事になります。
しかし皮肉にもこのS&W M1911の売れ行きは好調だそうです。 これには以下の理由が考えられます。
- コルトが凋落したのでその隙間に丁度良く収まった
- 実はS&Wでは以前よりM1911のスライドやフレームをOEM製造・供給しており、ノウハウの蓄積があった
- 大メーカーではあるがコルトと違って社外パーツの使用に抵抗が無かった
そんな訳で現在ではS&Wの主力商品となっています。まさに歴史の皮肉です。 ただコルト自体、M1911は外部デザイナーのジョン・ブローニングの設計ですし、M16はアーマライト社が開発したものの親会社が本業の航空機で傾いた為に買い取った物ですし、そのM16に取付するグレネードランチャーM203も自社製品はコンペで負け、勝った会社が小規模だった為にこれまた製造権を購入したりしています。 自社開発ではない製品が意外と多いのです。
特徴
特徴としては外部エキストラクターを導入している事と、前述の通りサイトはノバック製、トリガーはビデキ製などの社外パーツを取付ている事、またミリタリーやコマーシャルモデルが無く、タクティカルやレース向けのカスタムパーツをフル装備したコンプリートガンとしてお手ごろな価格(1,000ドル代)で販売している事が挙げられます。
他にもシューターのダグ・ケーニッグを抱え、彼の名を冠したモデル「DK」も発売しています。
中古品をネットオークションで購入、欲しいとは思っていたのですが中々手を出さなかったモデルです。 スライドのセレーションがちょっと違うのと、Ver.3でリニューアルするのを待っていたからです。
スライドはパラオーディナンスのHRTと共通の金型から作られているという噂がありました。 両者のスライドを見比べると、確かに似ています。 HRTとS&Wではセレーションに違いがあり、HRTは幅が狭くS&Wは広いので、流用するとなるとどちらかが似なくなります。 そしてセレーションはHRTのレスベアータイプで再現されているものに近く、S&Wがワリを食った形となっておりました。
プラス、発売からかなり時間が経過しており既にVer.3モデルが出ていました。 S&WもいずれVer.3でリメイクされ、更にスライドノッチプレートを装備したものを買った方が良いだろうと考えたのです。
しかし待てどもリメイクされず、とうとうVer.2の中古品を買ってしまった訳です。
右側面。外部エキストラクターをモールドで再現
仕上げは良好
ぱっと見でまず良いなと思ったのは仕上げ、全体の塗装がとても丁寧です。
Ver.2時代は今ほど仕上げについて突っ込まれる事が少なかったので、どの製品も良かったのかもしれませんが。
新規パーツ群
このモデルから導入された新規パーツがいくらかあります。このモデルに掛ける意気込みを感じます。
ただ…残念な部分が多いんです。
例えばトリガー。小さめの3ホールでピンの跡をモールド再現しておりちょっと珍しいのですが、これがスモールサイズ。 現行のVer.3フレームには殆ど使えません。
スライド分解。アウターバレルがアルミ製なのが残念
次にセフティ。シングルながらレバーが大きく丸みもあって操作性良好。 デザインも流石S&Wという大変格好の良いセフティです。個人的にシングルセフティの中で一番好きなデザインです。 しかし軸が4mmで、5mm軸が主流のWA製品では非常に流用しづらいものとなっています。 同じ事はフレーム側にも言え、このフレームには5mm軸のアンビセフティが使えません。
しかしながら、ノバックタイプのバンパー付マガジンは素晴らしいです。 ウイルソンやスプリングフィールドのバンパーはフレームから飛び出しており、手の大きな人だと小指に当たってしまいます。 ノバックタイプのバンパーはフレームのラインに沿っており、握った時に違和感がありません。 このマガジンはS&Wより採用され、以後多くのモデルに使われています。
フレーム分解。トリガーはラージサイズが良かったです
実射
すいません、撃ったのですが感想を忘れてしまいました。
総評
外観はかなり似せているのですが、細かく見るとスライドのセレーションとパーツの流用製の低さが気になります。
正直あまり売れていない印象がありました。Ver.3でリメイクされたのがDKのみというのがその証左ではないでしょうか。
渋谷試作で少数だけVer.3化されましたが、大量生産するのはちょっと…という扱いなのでしょう。
他に考えられる理由としては、S&WのM1911というのが日本人には違和感があったのかと。 アメリカでSW1911が売れている理由として、価格の安さが挙げられます。キンバーと同じ価格帯です。 しかしWA製品では実銃ほどメーカーによる価格差はありません。 価格はどんどんアップしていますが、ウイルソンが飛びぬけて高いと言う訳ではなく、みな横並びです。 そうなると違和感だけが募ったのかな、と思います。
加えてメーカーは有名ですが、このモデルが有名どころで使われていないという点があります。 警察や軍隊でS&WのM1911カスタムを採用してくれればアピールできたのですが、一般販売は良好なものの公用での採用がありません。
プラス発売時期が拙かったのではないでしょうか。2005年前半頃の発売ですが、同年12月にはマグナテック(つまりVer.3)が登場しています。 ちょうど更新時期に出してしまった為、みんな「Ver.3になったら買おう」と手控えてしまった印象があり、わたしもその一人です。 このように色々とマイナス要素が組み合わさった結果、売れないモデルとなったのではないでしょうか。
ホールドオープン右側。パーツ構成は前作とあまり変わっていません
- 仕上げが良い
- 新規パーツのデザイン。S&Wらしく、綺麗にまとまっています
- NOVAKバンパー付きマガジン。このモデルから採用されています
- トリガーがスモールサイズ
- サムセフティが4mm
- サムセフティが4mmという事はフレームも4mm軸対応型
- バージョン。Ver.3に切り替わる直前のVer.2での発売
スライドやトリガー、サムセフティを自作カスタムに流用しようと思います。
部品 | 症状 | 対策 |
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特に無し |
5mm軸ラージトリガー仕様で
通常ラインナップにブラックとシルバーモデルを復活されて欲しいです。
刻印は現行の「ロゴ+小さい文字」タイプが嬉しいですね。
ホールド・オープン。リコイルスプリングガイドが映えます